臓器の内側、触覚も再現する 立体モデル製造への挑戦
3Dプリンタによる革新的な製造技術が広まる中、現有のデータ処理技術を生かして人工臓器の試作開発を実施。外観だけでなく、内側の形状、さらに触った感覚までも再現した。
新規事業として医療分野へ挑戦
当社の事業は印刷業ですが、市場は縮小傾向で対策は必然でした。印刷業の中では3Dプリンタが登場し始めた時期で、立体的なプリント技術を習得し、新規事業に活用できないかと考えたことが補助事業のきっかけです。
当事業では医療分野に着目し、新たなチャレンジとして3Dプリンタを利用した心臓や大腸、胃、頭蓋骨等の立体モデルの製作を行いました。形はもちろんですが、臓器は内側(中身)も再現しています。例えば、胃であれば胃袋の内側。これは3D化するために事前にスキャンできる形状ではありませんので、海外から形状データを購入し、立体化するためのソフトウェアを購入して再現しました。外見そのものの再現であれば、スキャンして3Dデータ化すればよいのですが、当社は臓器の内側の再現や、触覚も再現することを目指しました。臓器は柔らかいものなので、強度を保ったまま柔軟な触覚を造ることはとても大変でしたね。材料の選定や配合等では試行錯誤し、これまで取引のある素材業者にアドバイスをいただくなど協力を得ながら進めました。研究しながら新しい知見を蓄積できた意義は大きいと感じています。
新規事業として医療分野へ挑戦
営業活動では、主に自社HPでの広報、展示会出展、DM等での販促物送付を行いました。関心を持っていただいても取引につながることは少なく、2年ほど営業活動をしてやっと事業の手ごたえを感じ始めました。その中で気づいたことは、実物に似ているものでは意味がなく、人体に使える実用性のあるものが必要である、ということです。模型を作ることは他社でもできます。当社は独自の技術で他社にできない領域を目指そう、と方向性を変えていきました。臓器として実用化するには認可を得るための更なる研究やそのための資金も必要になりますが、目標は明確になっているので進めていきます。
補助事業期間中は悩みも多々ありましたが、この経験のおかげで新しい分野へ抵抗感なく挑戦できるようになった効果も感じています。
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